スーツケースのキャスターのメンテナンス方法について
スーツケースの要となるパーツといえばなんといってもキャスターでしょう。この車輪が付いていることこそが旅行カバンとしてのアイデンティティであり、メリットであり特徴であるのです。
車輪が付いていなかったら、あるいは壊れてしまったら、只のデカイ重いだけの旅行カバンになってしまいます。
最近のキャリーバッグ類のキャスターは大変丈夫になってきましたので、変な安物を買わない限り簡単に破損することはありません。ある程度の値段以上の一流メーカー製の製品であれば100フライトして1回壊れるか壊れないかくらいの確率でしょう。
最近はキャスターの強度が上がって、逆にハードケースのボディが軽量化のため薄くなっているので、車輪に加わった衝撃が貫通してボディのほうが壊れます。したがって、キャスターが壊れることはあまりありません。
衝撃による破損はそれほど心配することはありませんが、回転して摩耗していくパーツであるのは間違いありませんので、正しく使って正しくメンテナンスを行っていないと寿命を縮めるのは間違いありません。
この記事では正しいメンテナンスの方法について解説します。合わせて正しい使用方法もご覧ください。
糸くずやビニール袋などの車軸への巻き込みに注意しよう
メンテナンスといっても、昔と比べると格段に頑丈になりましたので、やるべきことは多くはありません。何か異常がないかチェックする程度のことです。
一番多いのが、糸くずや髪の毛や、ビニール類やホコリ等がからみ合って車軸に巻き付いてしまうケースです。ホテル内などでカーペットの上を転がすと糸くず類などを巻き込みやすいようです。髪の毛やビニール類やホコリ等も同じで、室内を走行した際に拾ってしまう恐れがあります。
特に、車軸と床面が近い小径タイヤの小型キャスターに多く見られる現象です。
巻き込んでしまったらすぐに取り除けばなんてことはないことなのですが、ハンドルを引っ張っているだけではなかなか気付かないため、巻き込んだまま長距離を走行して車軸の奥まで複雑に絡まってしまうケースが有ります。
こうなってしまうとなかなか取り除くのが大変になりますので、定期的に車軸を確認して何か絡まっていないか確認しておきましょう。
巻き込んでも車輪が回るので放置してしまうとどんどん巻き付いて回りが悪くなり、ちょっとしたきっかけで車輪がロックしてしまい、気づかずに引っ張り続けて車輪が削れてしまうというケースも有ります。
発見したら必ず取り除いておきましょう。
ガムが付着していないか確認する
同じようなケースとしてはガムを車軸に巻き込んでしまうケースが有ります。これは外を走行している際に起きるケースですね。
地面にガムが吐き捨ててあると、知らずに上を通過した際に車軸に巻き込んでしまうケースが有ります。これも小さな車輪にありがちな問題です。
ガムを車軸に巻き込んでしまうと非常に厄介で、なかなか取り除くのが困難なのです。しかし、できるだけ早期に何とかして取り除くしかありません。
ガムは柔らかい内はいいのですが、帰国した後も取り除かずに、物置の中で数カ月先や翌年の海外旅行まで放置しておいたりすると、カチカチに固まってしまい車輪が完全にロックしてしまうことがあります。
カチカチに固まった状態で気付かずに引っ張ってしまうと、当然ですが車輪が削れてしまいます。ガムも発見次第すぐに取り除いておきましょう。
場合によってはグリースを散布しておく
高性能なキャスターですと耐久性を上げるために金属のボールベアリングが入っていたりしますが、キャリーバッグに付いているものの多くは車軸に直接樹脂製の車輪を通してあります。
スーツケース程度の重量と移動距離であればそれで十分なのですが、運良く海外の空港で壊されずに100フライト200フライトと保つと、車輪がすり減ってくることがあります。
某大手メーカーのキャスターの性能チェックは16キロメートルの走行を行っているそうですが、ずいぶん少ない気がします。
航空会社に預け旅行カバンは破損と隣り合わせですので、一流品でも平均30回の渡航(100フライト弱)程度しか持ちませんが、運良くもっと保ってしまった場合はキャスターの寿命が気になります。
10年以上前、スーツケースのウィークポイントは車輪で、一流メーカー製であっても、どこよりも最初にキャスターが壊れていました。しかし、革命的なHINOMOTOのグリスパックキャスターが登場し状況が一変します。
これは特許技術で少しづつ自動で車軸にグリスが注入されていくというもので、脅威の耐久性を見せつけました。10年以上前の時点で、ほぼ破損のないキャスターを完成させていました。
現在では日乃本錠前以外のパーツメーカーのタイヤも強度が上がり良いものも増えてきましたが、ベアリングが入っておらずグリスパックではないキャスターは摩耗との戦いです。
多くの場合は、摩耗による寿命よりも、他の部分の破損のほうが先に訪れますので問題になりませんが、運良く破損が起こらないとキャスター寿命を考えてグリスを充填する必要が出てくるかもしれません。
一流メーカー製のスーツケースについては、基本的にはグリス類の注入は必要ありませんが、20回30回と使用が進んで車輪の削れなどが気になりだしたら、グリスを挿しておきましょう。
新しいうちからグリスを注入する必要はありません。グリスも一長一短で、微細な小石の破片などを拾ってかえって車輪を痛めることもあります。すり減りが気になりだしてから挿すのが良いと思います。
安物は性能が悪い可能性が高いので、割と早いうちからグリスを差しておいたほうが良い場合もあります。
ちなみにグリスですが呉工業のシリコングリースメイトなどがお勧めです。樹脂にも使えるスプレーグリスです。
潤滑剤としては、同じ呉工業のCRC 5-56も有名ですが、こちらはギアなど金属部品に使うものです。スーツケースのキャスターは樹脂ですので、使用には向いていません。