スーツケースのキャスターについて
スーツケースを構成するパーツの中で最も重要なパーツがキャスターです。
ぶつかった際の衝撃に強いことはもちろん、使い込んだ時のために磨耗に強いことも重要です。
キャスターは走行の快適性と、長く使う際の耐久性に関わってきますので、極めて重要です。ぜひ良いものを選びましょう。
昔に比べると、極端に壊れやすいものは減りましたよね。でも、相変わらずなものもありますので、安物は避けたいですね。
スーツケースの耐久性能はキャスターで決まる
スーツケースの性能でキャスターほど差の出るものはありません。
壊れて修理や買いなおしが必要となるのは、空港で乱暴に扱われて破損する場合と、使い込むことにより消耗して寿命が来る場合があります。
破損は様々な箇所が破損しますが、やはり、キャスターや取っ手や鍵の機構など、出っ張っている箇所が破損するのが圧倒的です。中でも破損確立ナンバーワンがキャスターです。
スーツケース修理会社で働いた経験のある私が言うのですから間違いありません。
正確には、キャスターそのものの破損と、キャスター周りのボディの亀裂が、非常に多いのです。
また、使い込むことによる消耗は、破損以上にキャスターに集中しており、ほとんどがキャスターです。
破損については、キャスターが多いというだけで、他の箇所が壊れないわけではありません。
しかし、消耗して使えなくなるのは、圧倒的多数がキャスターです。スーツケースのパーツの中で唯一の回転機構で、擦り減るパーツですので当然といえるでしょう。
キャスターの性能によって、破損確立には大きな違いがあります。丈夫なキャスターと、もろいキャスターの違いは顕著です。
スーツケースレンタル会社で働いていた経験上、安物のスーツケースのキャスターは驚くほど良く壊れます。
一方で一流メーカーのケースはキャスターがしっかりしており、破損することはほとんどありません。
もっと顕著に差が出るのが、キャスターの消耗です。いくら頑丈なキャスターでも、走行距離を重ねれば徐々に擦り減っていきます。この消耗の仕方に、驚くべき差が出るのです。
安物のスーツケースのキャスターは面白いほどに擦り減って行きます。有名メーカー製の高いスーツケースのキャスターは安物よりは格段に消耗しにくいです。
このサイトを作った2008年ごろと比べると、全体的にキャスターのレベルがあがってきました。 最近は極端に壊れやすいキャスターは少なくなってきました。
2000年~2005年ごろまでは一流メーカーのスーツケースのキャスターでもいまいちなものが散見されました。
2005年~2010年ごろまではHINOMOTOのグリスパックキャスターをはじめ、一流メーカー品には頑丈なキャスターが必ず採用されるようになりました。
2010年ごろからはノンブランド品でもかなり質の良いキャスターが採用されたり、安いキャスターの品質が上がってきたりで、以前のようにあっという間に壊れることは少なくなってきました。
以前はキャスター自体の破損が圧倒的でしたが、現在はキャスター自体ではなくキャスター周りのボディの割れなどの破損がほとんどです。
どんなキャスターがいいのか
キャスターは、スーツケースメーカーではなく、スーツケースのパーツメーカーが製造しているケースがほとんどです。
従いまして、有名スーツケースメーカA社と有名スーツケースメーカーB社が、同じスーツケースパーツメーカーC社のキャスターを採用しているようなケースもあるのです。
スーツケースパーツメーカーは実に多種のキャスターを製造しているため、どのキャスターが一番優れているかを把握している人はおそらく存在しないでしょう。
高いスーツケースは、高性能なキャスターを採用している可能性が高いため、やはりキャスターもスーツケースの値段によりけりです。
ただ、高くて頑丈なキャスターでも、消耗に差があるので注意が必要です。
例えば、走行中にグリスがキャスターに供給される、日乃本錠前のグリスパックキャスターなどは、非常に消耗が少なく優秀です。
大きい車輪 or 小さい車輪
スーツケースのキャスターには、従来からの小さな車輪のものに加えて、最近は大きな大径の車輪が増えてきました。
一般的に大きい車輪の方が優れているとされていますが、それほど顕著な違いがあるようには思えません。
大きいのキャスターの長所としては以下ような点がよく挙げられます。
①段差や石畳に強い
②転がりやすい
③消耗しにくい
まあ、確かに上記の通りだと思いますが、あえて大きなものを選ぶほどのインセンティブは沸きません。
①には異論はありません。確かに大きいキャスターの方が段差や石畳には強いです。とはいえサスペンションが付いているわけでもないので、大きいキャスターでもガタガタはしますが。
②もその通りですが、それほど差が無いように思えます。車輪が車軸を1回転するごとに進む距離が大きいため、同じ距離を進むと、大きい車輪はより少ない回転数で辿り着きます。
③従って、大きい車輪はより少ない回転数で同じ距離を進めるので、車軸付近の磨耗も少ないわけです。
ダブルキャスターについて
リモワなどの人気もあり、ダブルキャスターのモデルも増えてきています。
2重のタイヤで走行性が安定などと謳われていますが、それほど意味はありません。
石畳など細い車輪でははまってしまうような場所では有効ですが、あえて選ぶ必要性を感じません。
わずかとはいえ、重さが重くなるのデメリットもあります。
選んだスーツケースがたまたまダブルキャスターであったら、それはそれで全く問題ありませんが、あえて選ぶほどのメリットは全く感じません。
詳しくは以下のページで解説していますのでご覧ください。
静音性について
近年の注目ポイントは強度や耐摩耗性だけではなく、走行の快適さや静音性になってきています。
同じようなキャスターでも静音性には格段の違いがあり、サイレントキャスターなど静音性に優れたものの走行の快適性は予想以上のものです。
できれは強度や耐久性に加えて静音性にも優れたモデルを選びたいものです。静音性について詳しくは、以下のページで解説しています。
ストッパーは必要なのか
ストッパー付きキャスターというのもなかなかに人気がある機能になっていまして、その名の通りスイッチひとつで車輪が回らなくなり、サイドブレーキーのような役割を果たします。
電車移動の際や、坂になっている所で立ち止まる時などに効果を発揮し、手で抑えていなくてもキャリーバッグが転がっていってしまう恐れがなくなります。
必要ないといえば大して必要ない機能ですが、あればあったで結構便利な機能なのです。
便利な一方、スイッチが上の方についているタイプは機構が複雑になり、重量が大幅にプラスになったり、機構の複雑さ故に故障したりとデメリットがないわけではありません。
あればあったで便利な機能ですが、無くても手で抑えていたり、キャリーバッグを横にしてスタンドが下になるように寝かせれば転がることはありませんので問題ありません。
ただ、電車内などでは寝かすわけにもいきませんので、やはりあったらあったで便利な機能ではあります。
ストッパーについて詳しくは、以下のページで解説しています。